ドイツ語のGの発音
ドイツ語のGという文字は、「ゲー」[ge:]と読むことからも明らかなように、基本的には「グ」[g]の子音を表すと考えて構いません。例えば、
Guten Abend
だったら、「グーテン・アーベント」[gu:ten a:bent]と読めばよいわけです。
しかし、実は、オランダ語においては、Gという子音字は「フ」[x]を表します。そして、「Guten Abend」に相当するオランダ語の挨拶は
Goedenavond (= goeden avond)
で、実質的に同じものなのですが、発音は「フーデン・アーヴォント」[xu:den a:vont]になるのです。
このため、ドイツの中でも、ラインラントのようにオランダに近い地域では、Gを「ハ」[x]とか「ヒ」[ç]とか読んだりすることがしばしばあります。
例えば、「こんにちは」という挨拶に相当する
Guten Tag
グーテン・ターク[gu:ten ta:k]
が「グーテン・ターハ」[gu:ten ta:x]などと読まれることも、地域によっては珍しくありません。
また、
Es liegt daran.
(これがその原因だ)
という場合も、「エス・リークト・ダラン」[es li:kt daran]ではなく、「エス・リーヒト・ダラン」[es li:çt daran]と読む人も結構います。
このとき、RとLの区別ができないと、riechen(匂う)と勘違いする、ということも起こりえます。
ですから、「私は絶対にドイツにくることはない!」と自信をもって断言できる人は除いて、Gという文字は[g]だけではなく、[x]や[ç]とも読まれる、ということを、必ず頭に入れておいてください。
さらに言うと、実は、Gが「イ」[j]と読まれることもあります。
スウェーデンの都市で、次のような都市があります。スウェーデン語で何と読むか分かりますか?
Göteborg
答えは、「ヨェーテボリ」[jøteborj]です。日本語では「ヨーテボリ」とよく表記されますが、ここで重要なのは、Gが「イ」[j]と読まれているということです。
実は、ドイツ語でもこういう現象が起こります。
ドイツ語で「おはよう」という場合、
Guten Morgen
グーテン・モルゲン[gu:ten morgen]
という表現が使われます。しかし、方言になると
moie
「モイエ」
とか
moin
「モイン」
といった挨拶が用いられます。
これは、[morgen]の[g]が[j]ないし[i]に変化したヴァリエーションであると思われます。
結局のところ、Gという文字は、「グ」[g]、「フ」[x]、「ヒ」[ç]、「イ」[j]、「イ」[i]のいずれにも読まれる可能性があり、そのいずれにも対応できる柔軟性を持っておくことが重要だ、ということです。
ドイツ語というのは、その人の出身地域によって、かなり発音が変わってくる言語です。極端な例を出すと、ドイツのテレビ番組でスイス人のインタヴューが流される場合は、それがドイツ語であるにもかかわらず、何と字幕がつきます。つまり、それくらい発音が違うのです。
ですから、ドイツにおいては、「柔軟性」というのがキーポイントになります。